AYA世代のがん・サルコーマ
1. AYA世代のがんとは?
AYAとは?
= Adolescent & Young Adult
(思春期 & 若年成人)
厚生労働省HPより
主に15〜39歳をAYA世代と呼び、この時期に発症するがんは「AYA世代のがん」と定義されます。
AYA世代のがんには、小児に発症しやすいがん、成人に発症しやすいがん、そして希少がんなど様々な種類のがんが含まれます。
我が国におけるがん医療
2006年 | がん対策基本法 ●全国どこでも同じレベルの医療が受けられる環境整備 |
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2007年 | がん対策推進基本計画 ●政府が総合的ながん対策として策定 |
2012年 | 第2期がん対策推進基本計画 ●小児がん |
2016年 | 改正がん対策基本法 ●「罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究の促進について必要な配慮がなされるものとする」 |
2018年 | 第3期がん対策推進基本計画 ●がんゲノム医療、AYA世代のがん |
厚生労働省HPより
「小児・AYA世代のがん」に加えて、「希少がん」も注目されています。
小児・AYA世代にとっては「希少な」がんではない!
希少がん・・・1年間に、人口10万人あたり、6人未満の発生数
日本のがん患者数をがんの種類ごとに多い順に並べると、赤線より右側はすべて「希少がん」ということになります。骨・軟部腫瘍である「軟部肉腫」や「骨肉腫」は代表的な希少がんの1つです。これら希少がんの1つ1つは数が少ないですが、これらをまとめた総数でみると、がん全体の約15%をも占めることがわかっています。
Gatta et al. European J of Cancer 2011
そして、ある論文のデータでは、小児・AYA世代では希少がんの患者数が一般的ながんの患者数より多いということがわかります。つまり、希少がんは、特に小児・AYA世代にとっては「希少な」がんではない!ということです。
AYA世代のがん診療の特色・問題点
世代(年齢)特有の問題
- 身体も心も大きく変化(思春期:成熟の過渡期、意思決定に親の関与)
- 就学、就労、恋愛、結婚、出産など人生の転換期となる多くのイベント
- 治療終了後の人生が長い
「希少がん」である故の患者不利益
- 専門医のいる施設にたどり着くことが時に困難
- 的確な医療情報が入手しにくい
多様な「がん」を含むグループ
- 様々な診療科、職種の医療者が診療に関わる
- チーム体制構築の問題
2. AYA世代のがん患者様へ
AYA世代のがん患者の思い
AYA世代のがん患者さんの思いや気持ちは、非常に多岐に渡りますが、「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」平成28 年度総括・分担研究報告書.2017のデータでは「相談先がなかった」が7割以上とされています。
最近活動が盛んになってきているAYA世代がん患者さんの患者会・交流会の情報の一部をご紹介します。
また、支援団体である一般社団法人AYAがんの医療と支援のあり方研究会が出しているAYA研LINE公式アカウントや、患者会STAND UP!!の発行しているフリーペーパー、NPO法人がんノートのYouTube番組配信など、利用できるツールは増えてきております。
3. 徳島での取り組み ー肉腫患者へのチーム医療ー
AYA世代のがん・希少がんである肉腫に対するチーム医療
2020年11月現在 独自調べ
世界的に近年このAYA世代のがん、特に希少がんの1つである「肉腫(サルコーマ)」に対するチーム医療の推進が広がってきています。そこで、徳島でも県内の肉腫患者さんの情報を共有し、関わりのある診療科で集まって議論することで、肉腫患者さんが得られる利益を最大化する目的で、徳島大学グループを2020年2月に発足し、2-3ヶ月に一度の頻度でサルコーマカンファレンス(症例検討会)を行っています。
徳島の肉腫チーム医療(サルコーマカンファレンス)
所属部署・診療科 | |||
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徳島大学 | 病理部門(病院病理、疾患病理、分子病理) | 31名 | |
整形外科 | 14名 | ||
産婦人科 | 8名 | ||
泌尿器科 | 6名 | ||
医事課・がん診療連携センター | 6名 | ||
放射線科 | 5名 | ||
小児科 | 4名 | ||
リハビリテーション部 | 4名 | ||
消化器内科 | 3名 | ||
消化器外科 | 3名 | ||
呼吸器外科 | 2名 | ||
口腔分子病態学 | 2名 | ||
形成外科 | 2名 | ||
臨床遺伝診療部(遺伝カウンセリング室) | 2名 | ||
緩和ケア | 2名 | ||
呼吸器内科 | 1名 | ||
小児外科 | 1名 | ||
徳島県立中央病院 | 整形外科 | 3名 |
第1回から第4回までのサルコーマカンファレンスの実績を一部ご紹介します。会への参加者は医師、事務の方、看護師、歯科医師、理学療法士、ソーシャルワーカーの順で延べ99名、診療科は病理部門(徳島大学以外を含む)、外科、産婦人科、泌尿器科、小児科、内科と多診療科に及び、また私共のチーム医療の特色としては、徳島大学病院以外の県内の病院・施設からの参加を歓迎しているところです。徳島県としてのチーム医療体制を構築・強化していきたいと思っております。