肝がん・肝腫瘍
治療法の紹介およびリンク先
肝がんの治療法には大きく分けて外科的治療と内科的治療があります。それぞれに長所・短所があり、腫瘍の状態と肝機能から、治療法を選択します。
(1)肝切除術
腫瘍を含む肝臓の一部を切除する治療法で、最も確実な治療法の一つです。
腫瘍の大きさ、数、占拠部位、肝機能から肝切除可能かどうか判断します。
低侵襲術式としての腹腔鏡下肝切除術も肝癌診療ガイドラインで推奨されている病変(肝部分切除術や肝外側区域切除術が可能な肝前下領域の末梢に存在)に対しては、当科でも積極的に行っています。
(2)肝移植
我が国では脳死ドナーの不足から、主に生体肝移植が行われています。
これは、近親者から肝臓の約40-60%を提供していただき、患者さんに移植する治療法です。
肝がんが単発で5cm以下あるいは3cm以下3個以内で、肝機能が悪い患者さん(Child-Pugh分類でグレードC)は保険適応での肝移植が受けられます。
内科的治療
局所穿刺療法
局所穿刺療法では主にラジオ波(RFA)やマイクロ波(MWA)が使用されています。
治療アルゴリズムにもあるように、通常は3cm以下の小型肝がんで個数が3個以内の場合が適応となります。
肝動脈(化学)塞栓療法
肝動脈塞栓療法は下肢のつけねの大腿動脈からカテーテルを挿入し、肝臓に抗がん剤を注入し、腫瘍に入る動脈を詰める方法です。肝動注用のリザーバーを留置し、抗がん剤を投与する方法で外来に通院しながらの投与も可能です。
薬物療法
肝切除や肝移植、穿刺局所療法、肝動脈化学塞栓療法が行えない進行性の肝細胞がんで、全身状態と肝臓の機能がともに良好な場合に行われます。
アテゾリズマブ/ベバシズマブ療法
肝細胞がんとしては初めてとなるがん免疫療法で、一次治療として2020年9月に承認されました。アテゾリズマブは免疫機能へのブレーキ作用を解除することで,がん細胞を攻撃する免疫の働きを活性化する薬剤です.また,ベバシズマブは血管の新生を阻害することでがんの成長を抑制します.これらの併用療法を行うことにより,腫瘍縮小効果が期待されます.1回約1時間の点滴を3週間ごとに繰り返します。
レンバチニブ療法
レンバチニブは腫瘍の増殖や腫瘍の血管新生に関与する複数のタンパク質のリン酸化酵素を阻害することにより、がん細胞が増殖するのを抑える内服薬です。1日1回の服薬を継続します。
ソラフェニブ療法
ソラフェニブは、腫瘍の増殖に関与する複数のタンパク質のリン酸化酵素を阻害することにより、がん細胞が増殖するのを抑える内服薬です。1日2回の服薬を継続します。
レゴラフェニブ療法
レゴラフェニブは、ソラフェニブが効かなくなった肝細胞がんに対する二次治療として、2017年に保険承認された内服薬による治療です。1日1回の服薬を3週間継続した後、1週休むというサイクルで継続します。
カボザンチニブ療法
カボザンチニブは、肝細胞がんの増殖にかかわる分子を阻害し、がんの増殖を抑える薬です。化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がん患者に対する治療薬として2020年11月に保険承認された内服薬による治療です。1日1回の服薬を継続します。
ラムシルマブ療法
腫瘍マーカーである血清AFP値が400ng/mL以上の肝細胞がんに対する二次治療として、2019年に保険承認された注射剤による治療です。1回約1時間の点滴を2週間ごとに繰り返します。
徳島大学大学院 医歯薬学研究部 消化器・移植外科HP:
http://tokugeka.com/surg1/
徳島大学大学院 医歯薬学研究部 消化器内科学HP:
http://www.tokudai-shoukaki.jp/
肝がん
http://www.tokugeka.com/surg1/research/page4_1_2.html
肝移植:
http://www.tokugeka.com/surg1/group/isyoku/index.html
日本肝癌研究会:
http://www.nihon-kangan.jp/